◆血圧は年とともに上がる?
20歳以上の二人に一人は高血圧を発症していて、血圧が上がる原因を特定できない場合が大半です。一般的に若い時に低かった血圧は50代、60代、70代と年を追うごとに上がっていきます。血圧は、心臓から押し出される血液が血管壁にぶつかるときの圧力のことで、若年者は血管がしなやかであるため、勢いよく流れてくる血液に対し血管壁がクッションとなり、血圧は上がりにくい状態となっています。加齢とともに血管壁がしなやかさを失い硬くなってしまうと、血液はそのまま勢いよくぶつかるため血圧が上がりやすくなります。このように血管のしなやかさの低下が血圧が上昇する原因の一つです。
◆その他の原因
そのほかには、遺伝、塩分の摂り過ぎ、肥満、飲酒、運動不足、ストレスなどが組み合わさって血圧を上げると考えられています。例えば、塩分が体内に増えると、体内の塩分濃度を一定に保つために体内の水分量も増えて血液量が増えます。腎臓の働きが不十分であると血液量が増えたままとなり、血圧が上がります。食生活において注意すべきは、食塩の摂取量を1日男性7.5g未満、女性6.5g未満までに制限することです。腎臓から余分な塩分を排泄しやすくするカリウムを含む野菜、果物、大豆を積極的に摂るとよいでしょう。
運動は、塩分を排泄する働きを高めるだけでなく、血管を広げて血行を良くし血圧を下げる効果が期待できます。また、肥満になると、腹部にたまった肥満細胞から様々な物質が分泌され、その結果、血管が必要以上に収縮したり、塩分が排泄されにくくなったりすることで血圧が上がります。
◆血圧上昇を放置しない
血圧は高くなっても自覚症状がほとんどなく、気づきにくいものです。高血圧状態では、強い圧力がかかったままでさらに血管壁が厚く硬くなり、動脈硬化が進行し、血管内部が狭くなって血圧がさらに上昇します。
健康診断の結果で昨年と比べて血圧が上がっていれば、単に年齢のせいと放置することなく、一度生活習慣などを見直す良い時期と考え、毎日血圧を測るなど自己管理を行いましょう。
◆血圧を上げないための生活習慣
- 塩分を摂り過ぎない
- 野菜、果物、大豆を摂る
- 十分な睡眠と休養をとる
- 気分転換をしてストレスをため込まない
- ウォーキングや階段利用などの適度な運動をする