大人になってからある日突然、食事の後にかゆみなどが起こることがあります。これは、本来無害であるはずの食物を異物として認識して排除するために起こるアレルギー反応で、食物アレルギーといいます。子供の時に発症した食物アレルギーは、大人になるにつれて自然に治っていく場合が多いものの、大人になっても治らない人も1割程度います。大人の食物アレルギーは治りにくいと言われています。
食物アレルギーには、いくつかタイプがあります。甲殻類、魚類、小麦、果実類、そば、ピーナッツなどを食べて数分から2時間以内に生じる「即時型食物アレルギー」は、かゆみ、じんましん、咳、鼻水、鼻づまり、息苦しさなどが現れたり、急に複数の症状が現れたりすることがあります。
「口腔アレルギー症候群」は、生の果物や野菜などが口腔内粘膜に触れて食べた直後から口の中やのどがムズムズ、ピリピリと痒くなる、唇や舌が腫れるなどの症状が現れます。花粉に含まれるアレルゲンが果物や野菜に含まれるアレルゲンと類似している場合があり、花粉症の人が発症しやすいタイプです。症状は軽症で、30分程度で自然に治まっていきます。
小麦、エビ、果物などの摂取と比較的激しい運動によって引き起こされる「食物依存性運動誘発アナフィラキシーショック」では、全身にじんましんや赤み、息苦しさ、めまい、嘔吐、ぐったりするなどのショック症状が起きます。
食物アレルギーの原因物質は、血液検査で推測ができます。原因の疑いがある食物をどの程度避けた方がいいのかは医師から指示を受けましょう。また、自分自身がどの程度の食物アレルギーを持っているのか理解しておくことはもちろん、不眠や疲労などのストレス、体調、アルコール摂取、入浴なども関与すると考えられていますので、普段の生活も見直しましょう。誤って原因物質を摂取して強い症状が現れた場合には、ためらわずに受診しましょう。