認知症の前段階?
今さっき話したことをもう忘れてしまったと自覚したり、短時間の間に同じ質問を繰り返す、元気がなくなってきた、新しい出来事を嫌がるようになるなどの変化は、健全な加齢によるものではなく、認知症と正常な状態との中間にあたる軽度認知障害(MCI)の可能性があります。MCIの約半数は5年以内に認知症に移行するといわれており、年々増加傾向にあります。
早めの気づきで進行を防ぐ
MCIの特徴としては、もの忘れはあるものの、食事、トイレ、お風呂、着替えなどの基本的な動作である日常生活にはさほど支障がなく自立した生活を送ることができ、認知症とは診断できない難しさがあります。
本人の違和感だけでなく、家族や周りの人たちがおかしい発言や行動に気づいて住み慣れた地域で安心した生活を続けられるように、介護・医療・保健・福祉などの側面から高齢者を支える支援を行う地域包括支援センターに相談するなど適切な対応を行うことで認知症への移行を遅延できる可能性があります。さらに、MCIの状態のうちに、運動をしながら脳の活動を活発にする計算、しりとりなど、体と頭を両方同時に働かせるエクササイズである予防的運動コグニサイズ(国立長寿医療研究センター開発)を始めることで記憶力が向上することがわかってきました。
認知症サポーター
地域住民、学校関係者、地域生活関連企業等の従事者が認知症の正しい知識をもち、優しい地域づくりにに貢献するボランティアの認知症サポーターという制度があります。オレンジリングやサポーターカードのステッカーが目印で、認知症の方が認知症とともに個人の意思を尊重され、これからの人生をよりよく生きていくことができるよう、徘徊等の保護・見守りなど安全対策を行っています。まずは、なんでも加齢のせいだとそのままにせず、情報収集したり、認知症サポーターやかかりつけ薬局などに相談してみたりしてみましょう。