◆自律神経とは
神経は、体のすみずみにある無数の細胞や組織と連絡を取り合うネットワークであり、脳と脊髄からなる中枢神経と、体中に張り巡らされている末梢神経に分けられます。末梢神経は自分の意志によって体の各部を動かす体性神経と、意志に関係なく周りの刺激に反応して体の機能を調整する自律神経に分けられます。この自律神経は、交感神経と副交感神経という逆の働きをする2つに分かれています。
◆交感神経と副交感神経
交感神経は闘う、逃げる、緊張するなど活発に活動するときに優位になり、心臓の心拍数を上げる、呼吸数を上げる、眼の瞳孔を拡大する、気管支を拡張させる、皮膚の汗腺から発汗させる、消化管の動きを抑制するといった働きをします。エネルギーを短時間で大量に使う準備をするために、全身に酸素や栄養が回るよう調節するという役割です。
一方、副交感神経は食事中や睡眠中など休息時に優位になり、心臓の心拍数をゆっくりさせる、呼吸数を落ち着かせる、眼の瞳孔を縮小する、気管支を収縮させる、消化管の働きを促進するという働きです。休息時にはエネルギーを無駄に使わず、緊急時に備えて栄養を体にためるように調節します。これらが互いにバランスを取りながら体の状態を調節していますが、このバランスが崩れると体の器官がうまく働かなくなり、だるさ、息切れ、めまい、ほてり、不眠、食欲不振、頭痛、イライラや不安などさまざまな症状が現れることがあります。
反対に、腸内環境が良好でないとうつ病に関係するホルモンの産生が減ってしまうなど、脳に影響を及ぼすこともあります。これは「脳腸相関」といわれ、腸内環境も良好な状態を保つことが大切です。
◆まずはリラックスを
今の人はストレスなど交感神経が優位で緊張気味の方が多いと言えます。つまり副交感神経を高めるリラックスの気持ちが大切です。自分の自律神経の状態を自覚することはできませんが、好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、適度な運動やお風呂にゆっくり浸かるなど、自分がリラックスできることをすると自律神経を整えることにつながります。いくつか試してみても不調が続くような時はご相談ください。