◆高齢者は「低栄養」に注意
高齢になると、味やにおいに鈍感になり、なんとなく食欲がなかったり、硬いものが噛みにくく、飲みずらいため、柔らかい食べ物に偏り、本人が気づかぬうちに食事量が減少したりします。このままで過ごすと体に必要な栄養素を摂取できていない状態(低栄養)となり、体重・筋肉量の減少や運動機能が低下し、さらに活動量が減少して食事量が減少するという負のスパイラルに陥ります。将来的には筋力やバランスをとる能力などが衰え、転倒しやすくなり、骨折が増えるなどして要介護や寝たきり状態となります。
そうならないためにも、毎日しっかりとした食事量を心掛けましょう。食品の彩りを目で楽しみ、鼻でにおいを感じながら、自分の歯でゆっくりと時間をかけて噛み、食べ物を味わいましょう。ときには家族や友達と会話を楽しみながら食べる機会を増やすと良いでしょう。1度の食事で十分な量を食べられない場合には、朝食と昼食の間、昼食と夕食の間などにも食事の時間帯を設けるなど、食事の回数や食事の時間を変えてみましょう。
◆偏らず、いろいろな食材を
いろいろな食材をバランスよく食べるためには、ごはん、パン、麺などの炭水化物を少なめにし、魚介類、肉類、卵、牛乳、大豆・大豆製品、緑黄色野菜類、海藻類、いも類、果物類、油脂類(オリーブ油、オメガ3油など)の10食品のおかずを摂取します。それぞれ「毎日食べる」場合は1点、「週に何回か食べる」「ほとんど食べない」などそれ以外を0点とし、その合計点が1日7点以上になるよう食品の多様性を意識しましょう。合い言葉は「さあにぎやか(に)いただく」です。(※東京都健康長寿医療センター研究所が開発した食品摂取多様性スコアを構成する10の食品群の頭文字をとったもので、ロコモチャレンジ!推進協議会が考案した合い言葉です)
同じ食品群の中でも様々な食品を食べることは、タンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維の十分な摂取につながり、筋量・筋力を維持することができます。さらに、できるだけ旬の食材を自分で選んで献立を考えて食事を作ると、食品の多様性はもとより、脳の活性化にもつながります。なお、治療のために食事指導を受けている方は、主治医やかかりつけ薬局・薬店で食事について相談してからチャレンジしてみましょう。